老人と愛人

対立の一致

ユーモアの葬式

ぬるま湯が膝下まで侵食し、太陽が南南西の方角から1日の延命を告げたとき、この世界のユーモアは死に絶えた。

ケラケラと笑い合った記憶は遠い彼方、夢覚めぬ彼岸で言葉になんの意味がある?意味だって、未だにそんなこと言ってるの貴方くらいよと、女は俺の肩をワイングラスで軽く小突く。そうかい、って軽口叩いてキツく目を瞑ると、白の世界。やっぱり、姿も形もないんじゃない!って夢の中。グルグルと頭の中を走り回る子犬は、もう2時半だから、眠るみたいだ。

ギューっと凝縮された時間や空間の中で、誰かを見つけることの困難を、貴方と共有したいのだけれど、もう遅くって。声を取り戻せ!声を取り戻せ!夢から覚めることがもうなくっても、きっと美しくあることはできるでしょ?と声をかけてくれた誰かを探し続ける日々。